12月29日。
ひとつのバンドが、東京ドームのステージに立った。
1日経って、あの熱狂を届けたくなった。
たくさんの人にCRUDE PLAYというバンドの軌跡を見てほしくなった。
ということで
この場をお借りして、ひとつの漫画をお勧めしたい。
私の両親は音楽が好きだ。車に乗れば必ずCDがかかっていたし、日曜日は父の弾くギターの音が響いていた。ゆずのCDを8cmシングルの時代からずっと買い続けている父だった。
そんな父の影響か、私が世界で一番好きな楽器はアコースティックギターになった。
私の両親は本が好きだ。もれなく私たち兄弟も本が好きだ。幼少期から、本棚いっぱいの漫画や小説に囲まれて育った。たぶん、5000冊は読んだと思う。
その中に、姉が大好きな青木琴美さんの漫画があった。
私が中学生から高校生になる頃、発売されたその漫画は、姉がずっと買い続けている青木琴美さんの漫画だった。
人生で初めて、漫画を読んで、泣いた。
最終巻を読んだ時、私は大学を卒業して社会人になっていた。好きなアーティストのライブに行くのが人生で一番の楽しみになっていた。
音楽をテーマにした漫画だった。この感動は、応援しているアーティストがいる人なら、音楽に人生を救われている人なら、必ず届くと思う。心の琴線に触れるだろうと思う。
だから今、改めてお勧めしたい。
「音楽」を仕事にしている「推し」がいるあなたへ。
手始めに問いたい。この曲を知っていますか。
CRUDE PLAYというバンドの代表曲。
メジャーデビュー曲「卒業」が発売されるまで、色々なことがあった。発売後さらに人気が出て、クリプレという愛称は瞬く間に全国に広がり、ドームに立てるアーティストになってからも、色々なことがあった。
音楽の世界で生きるということ。そんな人たちを応援するということ。後者の立場だった私は、最終巻を読んでぼろぼろに泣いた。ひとつのバンドを、音の聴こえてこない漫画を通してこんなにも大好きになった。こんなバンドを応援できたら幸せだろうと思った。
できることなら、この記事いっぱいを使ってクリプレの良さを語りたい。でも、漫画をお勧めしたいから。素晴らしい映画*2にもなっているけれど、22巻で完結したこの最終巻を読んでほしいから。内容には何も触れられない。なんならメンバーの名前すら出したくない。そのくらい、紙面から感動を味わってほしいと思っている。
素晴らしい映画になった時、亀田誠治さんやキャストの皆さんのお力でカノ嘘の曲が聴けるようになった。*3
こんなに幸せなことはない。1曲も抜かすことなく全部大好きだった。紙面から飛び出てきたみたいだった。今でも聴くし、今でも歌う。曲を聴く度に青木琴美さんの絵が浮かぶ。登場人物の顔が浮かぶ。そういう音楽を届けてくれたことに心から感謝している。
それでも、私が一番感動した最終巻のあの歌には敵わない。
音なんて聴こえない。歌詞はあくまで文字で、歌にはならない。
それでも、楽譜もないあの紙面越しに、涙が止まらなかった。
なんならドーム公演が始まる前から泣いていた。読んだらわかると思うけれど、クリプレのファンは幸せだと本気で思った。いつの間にか大ファンになっていた自分の気持ちまで救われた気がした。惜しむ想いも、愛おしさも、すべてに共感した。
そんな経験ができるとは思わなかった。だから、何度でも語りたい。何度でもお勧めしたい。『カノジョは嘘を愛しすぎてる』という漫画が、CRUDE PLAYというバンドが、創り上げたひとつの音楽を見てほしい。
年末年始のお供に、いかがですか。